1999/07/25

            サーフィンとの出会い その2
  サーフィンとの出会いその1の続き。Denis!が本格的にサーフィンを始めたきっかけとは?
                     by Denis !
 

 忘れもしない。。
 あれは今から約8年前、猛暑の夏が終わり秋が過ぎようとした11月の末の頃である。
 フリーターとして土方のバイトに明け暮れる私に、親友のSから電話が鳴った。

 「あした暇?海行こうぜ!」

 もうすぐ冬だっていうのに海へ行こうだなんてこいつは狂ってる
 そう思ったが、 Sがその年の夏からサーフィンにはまっているのを知っていた俺は、
 その理由が分からないでも なかった。  「俺、何も道具持ってないもん。」
 そう言い返すとSは 「大丈夫。お前の分も用意しといたから。」と断われない状況を用意して
 あった。 (手の内は全て読まれていた・・。さすが親友。)
 「分かったよ。」そう言って私は明日の寒中水泳を覚悟し、寝た。

 翌朝6:00

 
九十九里浜の一の宮という所に着いた。 確かに天気は晴れているが、北風がビュービュー
 吹いている。こんな中、とてもじゃないが 海に入る気はしない。ウェット・スーツを着れば大丈夫
 というSの言葉を信じて用意された ウェットに袖を通す。
 「ウェット・スーツって中間色なんだな?」という俺の言葉にSは答える
 「それ、裏表が逆だよ。」 早く言ってくれ・・。どうりでファスナーが閉めにくいと思った。
 初めての体験にちょっぴりワクワクしたのを覚えている。

 Sのウェットが長そで長ズボンなのに、
 俺のは半そで半ズボンでも気にならないくらいだった。(1年後に怒った)

 言われるがままにボードを持って海に入った。
 エアーマットで波乗りしたあの記憶が徐々に よみがえる。今考えればとっても小さなショア・
 ブレイクだったが、あの時はデカイ波に感じた。

 Sは何も教えてくれることなく沖へ行ってしまった。(冷たい奴だと思ったが、今考えると分かる
 ような気がする) ドジ井坂氏のサーフィンクリニックで理屈は理解していたが、パドルに苦戦
 していた。そして1時間が過ぎ、体は寒さで疲れきっていた。(11月にスプリングなら当然!)
 Sに岸へ帰ることを告げてパドルを始めた その瞬間! 昔と全く同じ光景である。
 ボードのテール が波に持ち上げられ、次の瞬間には波に乗っていた・・・。
 ショートボードをボディーボード のように乗っていたが、まぎれもなく波に乗っていた。
 ものすごい音の中、ボードは自分に関係なく 走ってゆく。昔味わった時と同じだ。
 ただひとつだけ違ったのは、見てくれる人が誰も居ないという 事だけだった。
 それでも良かった・・。
 何とも言えないあの感覚を再び味わえた俺には「感動」という言葉しかなかった。

   はまったネ。

 サーフィンの恩人となったSの休みなどはもはや関係なくなっていた。
 俺は次の日から 仕事を休んで2週間、毎日海へ向った。朝から夕方までサーフィンし続けた。
 土方と水泳をやっていたおかげで体力は持ったが、金銭が底をついた。
 親からは「アホ」よばわりされ、彼女は去りかけた。楽しかった。
 ドジさんのおかげで5日目には立てるようになったが(奇跡的に)さすがに12月に 入って
 キツクなり、海から上がることにした。

 この2週間は人生で最高に充実していたが、何もかも捨てていたため、その後の生活は
 想像以上に厳しいものとなった。しかし、フルスーツを買うという 目標があったせいか、
 根性なしの俺でも耐えられたのにはビックリした。
 この年を境に俺の人生はサーフィンと共に歩むようになっていった。



 あの初めて立てた時の瞬間は忘れられない。

       サーフィンでしか味わえない「あの感覚」は言葉では表現できないのだ。



 あれから8年たつ。
 「よくもまあー飽きないねー。」 今だに妻に言われるが。私にはサーフィンを辞める理由がない。
 波をグライドするあの感覚は、サーフィンをしない俺の妻には一生理解はできないだろう。
 俺の気持ちを最も理解できるのはおそらく、これを読んでいるあなたではなかろうか?


 追伸:親友Sには心から感謝! 全てのサーファーにGOOD WAVE!




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