1999/08/10

               サーファーとしての自覚
       「海辺の自然保護」「ゴミ問題」などサーファーとしての自覚が大切だ。
                     by Denis

 先週海へ行った時、サイズはないがそこそこ面のキレイな波を見ながらうかれてウェットを着込
 んでいた。そこへ1人のおじさんが登場。彼は額にいっぱい汗をかいて私に近づいて
こう言った。

 「ここらは車両の乗り入れは禁止なんです。車は浜から出してください。」

 今から行くぞ!という時に言われた一言は、あまりのタイミングの悪さに私の平常心をかきみだ

 した。思わず反論。
「そんなの知らないよ!急に言われても動かせないし、今度 来たら気

 をつけます。」
おじさんは困ったような顔で私に1枚の紙切れをよこして去って行った。

 買ってきたパンをほおばりながらその紙を読むと、そこには浜辺への車両乗り入れの規制に関

 する事項が
小学生でも分かるくらい簡単に書かれていた。


 そこには県の環境部自然保護
課による条例違反を犯した時の処罰の内容と共に、私達が自然

 に及ぼす悪影響についてが書
かれていた。 

  それによれば、私達がなにげなく砂浜に車両を乗り入れる事によって、
『ハマヒルガオ』という

 海浜植物が踏み荒らされる事、
『アカウミガメ』の産卵・ふ化に大きな影響を与えてしまう事、

 
『コアジサシ』という夏鳥の砂浜にある「巣」を破壊してしまう事などが記述されていた。

 
  それを読み終えた時、私の中に「カーン」と響くものがあった。
他のサーファー達も同じように

 おじさんから「紙」を受け取っていたが、「ハイハイ」とい
う感じで軽くあしらっていた。それを見て

 私は
「こんな奴等と同レベルではいかんな」と思い早速、車を砂浜から出した。海岸線までは

 200M。ロングボードの私には結構こたえる
距離のはずなのだが、さほど気にはならなかった。

 むしろ、自然保護に協力している自分が
していない者よりも上等という優越感でいっぱいだった。

 その後、何台かの車が移動してき
たのは人間として「誇らしい光景」だった。


 それ以来私は砂浜へ車両を乗り入れないようにしている。


 他の車は未だにズカズカと入っていくが、私はしない。そう、自分がしなければいいのだ。

 他の人達がやっていても自分がしなければいい。


 本物ならいずれ伝わるのだから。

 私はサーファーである。海で遊ばせてもらっている以上、自然に対して最大の敬意を示さな
ければ

 ならない。自然は人の所有物ではない。動物や魚を含めてみんなの物である。人類は
凄まじい

 発展を遂げ、昔のように「無知」ではないはずだ。2000年を生きる私達に必要
なのは

 「自然と共存する知恵」

 だと私は思う。

 50年後、ハマヒルガオの咲かない浜辺で波
を眺めるのはごめんである。

 私は腰の重い「県」が出したまれにみる「良いアイデア」に賛同
する。

 そして額に汗して訴えてくれたあのおじさんに感謝すると共に協力することを決めた。


 なぜなら、                                     

 サーファーである私にとってそれは『自覚』であり、今できる最大の『努力』である。

 50年後にハマヒルガオの咲く浜辺で会える事を祈って・・・。




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