2000/10/30

       貧乏サーファー
                       by まきしろうと



 波乗りはじめたての頃のお話。

 大学一年生でバイトもあまりせず、海に行く回数をどんどん増やしていると、

 自然とお金がなくなった。今でもお金はないけど、バイトより海を優先してた頃は、

 ホントにどれだけお金をかけずに海がよいが出来るか?というのは結構生活のテーマ

 だったし、お金をかけないことがカッコイイとかまで思っていた。

 高速代なんてまず、ムリ。どんなに渋滞してたってシタ道で往復するのは当たり前。

 コンビニで買う弁当もケチって自分でお弁当作ってた時期もあった。

 水筒持参は当たり前だった時もあった。ウェットがシーガルしか持ってなかった時期は、

 12月でもシーガルで入ったし、2月にシーガルにアームで入っていた時期もあった。

 次のシーズンは3ミリジャージフルで1年を通した。(真冬は下にアームをつけて3ミリ

 を着てた) あ、そうそう真冬にあまりにも手が冷たくてどうしようもない時、

 グローブが欲しかったんだけど、それをケチって、よくお母さんがたが水仕事なんかで

 つかうゴム手袋(ピンクとかのヤツ)を使っていた時もあったなぁ〜。

 (あれは今思うとやっぱりハズカシイ) 

 お金をほとんど波乗りにかけてると、洋服なんてのもほとんど買わなくなっちゃって、

 一年中ビーサンはいてた時もあった。

 今でも、それなりに貧乏だけれど、それでもだいぶ進歩した。

 ウェットも全種類ゲットしたし、帰りは高速にだって乗るようになった。

 来年は自分も社会人になる予定だし、金銭面では余裕も出るでしょう。

 ただ、あの頃の貧乏サーフィンの想い出も、今思うと結構、楽しかった思い出

 ばっかりなのである。ボロボロのセダンのマニュアル車に板を中積みして、

 二人でぎゅうぎゅうになって波乗りしに行き、コンビニのトイレでペットボトルに水を

 汲んで、それをシャワー代わりにして、渋滞の中帰っていたあの頃・・・。

 今ではワンボックスのオートマ車で一人でいって、備え付けシャワーをあびて、

 高速で帰っちゃったりして・・・。

 お金を払った分、すんごく快適になったけど、あの頃のように知恵を使って、友達と

 「それ最高!」なんて言ってた感動はなくなっていることも忘れないでいたい。

 なんでもお金を使って遊ばないで、アタマを使って遊ぶこと

 それまでの自分ではありえなかったことだし、

 そう言ったことを教えてくれた波乗りに感謝!

 もちろん、快適に波乗りできる方がいいけど、いつまでもあの頃のなんでも新発見

 だった頃の感覚と思い出は大切にしていきたいなぁと思ってしまいました。 




 PULL-OUT