2000/10/31

  33歳からのサーフジャンキー
                     by 南島波乗り人



 台風14号が本島に直撃した後の数日間、本島西海岸に素晴らしいウネリが届いた。

 本島を代表するサーファーとハワイ出身のサーファーを引き連れて、

 有名なカメラマンは、幻のレフトに陣取り素晴らしいショットを残している時に、

 僕はその風景が遥かアウトに見えるインサイドの腰胸サイズの波で、

 43歳にして久しぶりの感動を受けた。

 3ヶ月前、僕の前に33歳の2人の男が現れた

 一人は静岡県で波乗りを覚えたが5年間海から遠のいていた奴、

 もう一人はダイビング専門家で「波乗り」は憧れでしかなかった奴。この二人が

 「もう一度波乗りの世界に戻りたい」「憧れの波乗りを、夢と現実の世界にしたい」・・・

 僕の下積み稼業に入門したいと、頭を下げて来たのだ。

 そして、33歳二人組みのトレーニングは始まった。

 ランニング、水泳、パドルトレーニングなどを毎日こなしていった。

 しかし、この島のポイントは全てがアウトサイドリーフであり初心者には、かなり厳しい

 練習になった。5年間離れていた奴は、体力と感覚を取り戻し、増えた体重に合わせて

 ボードを換えることにより、波乗りの世界に戻ってきた。

 もう一人の初心者は、波に巻かれリーフで体を傷つけ、僕に怒鳴られて楽しいはずの

 波乗りが体育会系のトレーニングになっていた。

 3ヶ月間、海陸のトレーニングを積んだ。

 そして、台風後の本島西海岸のこの場所で、3人が波待ちをしている時に、アウトから

 形のいいウネリが向かってきた。僕は奴に「この波行けや〜」と叫び、奴はパドルを

 始めた。ウネリの一番おいしい所で奴の板が走った。そして奴は板の上に初めて立って

 「波乗り」を経験した。その時、三人が目をかっ開き、大声で「うぉーつ、うぉーつ」

 訳のわからん言葉を発していた。

 僕にとって、その日のアウトサイドのセッションより、

 インサイドの久しぶりの鳥肌もんの感動の方が、

 2000年台風14号の贈り物として心に残り、25年前の気持ちを取り戻せた。

 そして、相変わらずこの3人は、波のある日は仕事そっちのけで「海」に入っている。

 11月末からのフィリピン北西部波乗り探検を成功させる為に!




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