2000/05/20
        日曜日に。
                          by Y.O.S.



 ちょっと前に飲んだくれてた時、

 偶然に飲み屋で席が横になったレジェンドサーファーに語られた。

  「俺は娘には、絶対にサーファーとの恋愛は許さんね。
  サーファーってのは、家族恋人と同じレベルに波がある。
  不幸にするとまでは言わないが、愛はあっても波にも同じ愛を注ぐ。
  っていうことは、人間と自然だろ?もし娘が傷つき誰かを求めている時に、
  そいつの目の前に波があったとしたら、とりあえずサーフィンをしてから娘の元
  へ向かうのが目に見えている。それが理解できるだけに、大事な娘を渡せない。
  とか言いながら誰かの大事な娘を奪っていったのは俺なんだけどね ハハハ」


 そうなんですか〜?なんて言いながら話を聞いていた。


 とあるシェイパーの奥様などは、

 「うちの旦那は結婚式当日に波乗りして2時間遅れてきたのよ。
  私も親も来ないんじゃないかと焦ってたわよ。でも、その時に後輩が
  ○○さん 今朝××でサーフィンしてましたよ と教えてくれて。。
  おかげで式場も招待客もプンプン、もー最低でしょー?」


 ギャハハひどーい!なんて嘘の同調しながら話を聞いていた。


 とある海で知り合った39歳独身レディースサーファーは、

  「出会うのはサーファーばかりで、皆、好き勝手にして私をほっぱらかしとくし、
  サーファーじゃない人は、逆に私に愛されてないと去ってってしまう。
  あ〜ぁ、恋したいのに波乗りだけでこんなに歳とっちゃって婚期なんて素通り。
  もう人生終わってるわよね、うふふ」


 どこがですかっ!なんて本気で言って話を聞いていた。

 どの人の話もすごくグっときた。

 だって三人とももの凄く楽しそうに話していたから。

 「とか言いながらいい思い出じゃないっすかー」なんて

 他にいた友達もチャチャいれてたけど、

 ほんと、めちゃくちゃ羨ましいなぁと思った。ただ単にすごく幸せそうだった。

 いろんな形があるとは思うけれど、人生って幸せな話がいっぱいあった方がいい。

 その人達も、いろいろ辛い事もあったのだろうけど、それもひっくるめて。

 こういう風に人に語りたいと思わされた。

 こう書くと、あんた幸せっていうけど何?って言われそうな気がする。

 実は私もはっきり言って分からない。

 だけどひとつだけ最近思う事がある。

 幸せになる為には、幸せを感じられるものを全て大事する気持ちがあって、

 そして傷ついて勉強してまた立ち上がって。。それを、全部受け入れられる自分

 がいてこそ、出会えるものじゃないかなと思う。

 具体的にはほんっと分からない。


 なんて事はない普通の思い出話でもあの人達の幸せそうな目の輝き。。

 あんな目をして話せる事が出来たらなと素直に思えた。

 まぁ波乗りに限らないけれど、

 サーフィンってそういうのに出会いやすい素晴らしいものだと思った。

 今、私もひとつずついろんな事を見て、聞いて、触って成長し続けていると思う。

 波乗りに対する気持ちもどんどん変化する。そう、どんどん大事になる。

 波乗りしてるからどんどん変わっていってるのかもしれない。

 こうじゃなきゃいけないっていう固い殻も壊れて、私は本当に一皮むけたと思う。

 そしてあと何十枚もむけてみたい

 これって アレがこぅ で コレがあぁ なんて理屈は全く存在しないから、

 口じゃうまく言えないけれど、ただ波乗りしたーぃ!って強烈に思う日がある。

 そんな自分が結構好きだなとか思っちゃう。

 その気持ちが「あっ!もしかしたら今、私って超幸せ」って思わせてくれる。

 だってそう考えてる時の私の目は、すごく輝いてると思うから!

 とか言って、自分で見た事はないけどね ハハハ。


 

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