2001/08/19

        奄美大島で・・
                           by AKI


6月、奄美大島へ行った。梅雨のまん中にね。
自分を知ってるひとが誰もいないところで、のんびりして、
できれば波乗りもやれたらいーな…という程度のもん。
きれいな海と山とおいしい食べ物、それが目的!
広島より南へ行くのは初めてでドキドキワクワク!
東京から2時間、初上陸の奄美は…プールをひっくり返したような大雨だった。

名瀬市にはいる前に手広海岸に行く。
そこの前にあるペンションからBBを借りることになっているからだ。
レンタル料はタダなんて気前がいいなと思っていたら、
家族のものを貸してくれるってことだったんだ。
「返してくれるのはいつでもいいから。あと、傘も持って行きなさい」 なんて
初対面の人間に・・・なんていい人たちなんだ!

砂降りの中、ようやく市内に入ってみると拍子抜けするくらい日本のどこにでもある街だった。
若者たちは金髪にピアスに、何も変わらない。
その暑さと咲いている花と歩いている人々の顔立を除けば、
どこにいるのかなんてわからないかもしれない。

1年で最も観光客のいないシーズン。
観光地としてより、生活の地としての奄美を感じている私だった。

次の日は天気も回復して、
フラット続きだったというそのエメラルドグリーンの海に腰程度の波が立っていた。
ローカルビジター合わせても5〜6人。
ゆっくり見てからポイントに向う。 ゴミがない。 水は限り無く透明。
こんなきれいな海で波乗りできるなんて、なんて幸せなんだ!!

ロング、ショート、BB。ルールもマナーもきちんとしている。
ローカルでも交代しながら入っていて、誰かが終わると端にいた人がいい位置に入る。
だから私でも何本かセットの波に乗れたし、
私が終わると後から入っていたビジターが上がっていった。心地のいいリズム。

駐車場に歩いていくと、たむろしていたローカルの若者たちが「お疲れさまでした!」
と笑顔を向けてくれた。彼等は去っていくときも大きな声で挨拶して行った。
散歩のひとも「こんにちは」と声をかけてくれる。
あたりまえのことなんだけど…、自分の地元じゃ目線も合わせないことの方が多いから
なんだかとても・・・じ〜〜〜ん

ここにはシャワーもトイレもあるんだけど、そこにウェットや板が置きっぱなしなんだ。
着替えのTシャツにはては携帯まで…おいおい(笑)
いや〜いいなぁ…これこそ本来あるべき形だよ。
「そんな、いいことばっかりでもないし…いろんなひとがいますよ。」なんても言われたんだけどね。

奄美は曲がりくねった山道が多い。
かなり整備されてきたとはいえ、落石や土砂崩れが多いので、
慣れないうちはスピードを出すのは恐い。
煽られるのも恐いけどね。(ナンバー見てよ!土地の人間じゃないのよ!)

でも、山道を走ってるとわかるけれど、生い茂った木々の間には常にたくさんの水が流れている。
小さな滝もいくつもある。そう、つまり土砂災害は起こってあたりまえ!
だって水の通り道を遮断して道路が作られているのだから。
スコールが山を育み、山が海を作る。ガイドの案内で原生林も見たけれど、
その原生林のすぐ横は工事の採石で赤い山肌がむき出しになっていた。
飛行機が飛び、車を走らせられるから、私はこうして奄美にいる。
でも、車を走らせる私も自然破壊に加担してることになる・・・う〜〜〜ん。

私が見たもの。呼吸する木々、生きている水、キノボリトカゲやオオアカゲラ
たくさんの蝶、自生するキウイ、奄美固有種の数々、etc

『奄美大島から国会議員を!』 『離島に橋を!』 の看板、何十億だかかけたっていう
巨大な螺旋橋、閉店した店に入居者募集の張り紙、etc

そしてその両極にあるものの距離がとても近くて、まさに日本全体の問題の縮図を見る思い。
だけど、親切な人々、明るく逞しい女性たち。
とれたてのプラム、新鮮な魚、地鶏料理、山羊汁、豚の耳、もずくその他色々。
なにより美しい海、豊かな山。


旅の前に、「波が無い時期になにしに行くの?」とか「1人で行ってもつまんなくない?」
とか言われたけど、そういう意見は私にはよく理解できなくて。

いいところだよ。

だって、自分が自分に驚くくらい、穏やかで平和な私になってたもの。
島を立つ時、たとえようもないほどきれいな夕陽と雲と海に見送られて、
私の頭の中に『beautiful  world』(y.koyanagi)が聞こえていた。
また、地元の海にお世話になるけれど、今度からは知らない人でも目が合ったら
なるべく挨拶くらいしよう。ヘンな顔されるときもあるけど、1人だと勇気がいるけど
混み合うポイントじゃ無理かもしれないけど…。


最後に、サーフショップ「nirai kanai」、サーフペンション「グリーンヒル」、
「アイランドサービス」、奄美大島の人々に深く感謝!またよろしくね。






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