2003/08/07
SCAR TISSUE
mie
 

 

今まで生きてきて、大切なものって何が有ったのだろう。
手元に有るもの、もう無くなったけど覚えているもの、忘れたもの、
記憶から消してしまったもの。。。。

年齢を重ねていくたびにその価値や感覚が変わっていったりするけど、
変わらないものがいくつか有る。

それは人、恋人や家族、そして友達。
私にとってはもう二つ、夢。そして自分の中に芽生えた大切なもの、波乗り。
先日、私の友達は夢という大切なものを呆気無く失った。

My dream isover....

彼からのメールに書かれていたこの言葉が心にこびりついて離れない。


そして私も彼の夢が壊れた同じ日に大切な人と夢を失った。
人はよく言う。
大切なものは失ってから分かるもの。
この言葉は本当にその時が来ないと解く事ができない意地悪なパスワードかもしれない。

全て壊れてしまえばいい、私と共に無くなってしまえばいい、
どうせ大切なものは何も無くなってしまったのだから。

本当に?
私という身体が、血が、細胞が違うと言っている。
海? 波乗り?
いきたい、今すぐ水の中に。
日曜日、まだ重い身体とぼーっとなっている頭、
鋭利な刃物でズタズタに切り裂かれた血まみれの心を水の中に解き放った。


真っ暗なTV の画面に プンッと白い光、スイッチがついた。
全く断ち切えていた欲望というものが蘇えった。波にのりたい。
前を向いて、ショルダーのはったレギュラー。
動き始めた。

体調も回復して、心も少しまだ傷痕は残っているが正常に動きだした時、
私は友達の彼にメールを送った。

夢は一つだけじゃない、その証拠にアんたはまだ地球で生きてる。
海が有る限り、まだ夢は有る。


サンキュ、海、サーフィン。

 



         PULL-OUT