2004/05/16
老婆心
BY 池ちゃん
 

 

大型連休が明け、新社会人、新入生、
新たな環境にも慣れそろそろ念願のサーフィンデビュー。
そんな人たちが海に溢れてくる頃だ。
優しいおにいさんおねーさんサーファーの皆さん、
ビギナーには海の怖さとすばらしさきちっと体験させてあげましょうね。
誘いは優しく厳しく。

denisとnoriに会って4年が経つ。
初めて会ったとき、なんと明るくパワフルな奴らだろうと驚いた。
そんな彼らも会社を作ったり、家を作ったり、この4年でさらに進化した。
俺の方は相変わらずだ。お客さんもポチポチ。
相変わらずサラリーマンと修理の親爺、二足の草鞋状態。

でも、結構楽しんでもいる。修理で関係が出来た人たち、必ず板やウエット買ってくれる。
人間関係作り、楽しい。親爺だから、薀蓄語っても、しょうがないと諦めて聴いてくれる。
旅の事、サーフィンの事、就職の事、結婚生活の事。それと少々生意気な生き方のこと。

俺が始めてサーフィンを観たのは、高校生のとき。今から役25年前。
「ビッグウェンズデイ」だった。ロペスやジャンマイケルビンセント。
どこで何をやっているのかまったく理解していなかったが、かっこ良かった。
たまたま、ひとつ上の先輩達が大学に入りサーフィンを始めていて誘ってくれた。
憧れが実現した。初のゲットは部原だった。サイズは多分胸〜肩だと思う。
出るのに1時間、それまでに何十回も食らった。水も飲んだ。必死で出た。泳いだ。

たまたま先輩達の中にたどりついてた。セット、先輩が後ろから板押してくれた。
そのまま板にしがみつきながら面を滑っていった。そしてゴッチーン。グシャグシャ。
疲れきって、浜で先輩達を見ていた。そのうちうたた寝。蹴っ飛ばされて起きる。
飯食って、午後は御宿。少しパドルの真似事。また上がって寝る。帰りの車、もち寝る。
ともかく疲れた。カッコはいいけど、辛い。これが第一印象。

その先輩達と当時江場土に家を借りた。ちょうどnoriの家の通りはさんだ向かい側あたり。
そこにはシークエンスの蛸さんの家もある。
我がクオーターサーフの黒木さんの家と工場もある。
久我孝男がシークエンスのライダーだった。まだ高校生。
免許が無いので俺が運転手のこともあった。
修自君もよく遊びに来てた。彼は検見川出身。先輩と中学が同じ。
酒飲んだり、波乗りしたり。
今ほど志田も混んでなく、楽しく遊んでた。
今もトッププロの彼らとサーフィンできたことはラッキーだった。
目の前でたくさんのものを見せてもらった。彼らはいつもアグレッシブでかっこよかった。
一緒に酒飲んでる奴が、雑誌の表紙を飾ってる事に、なんの違和感もなかった。
当然だと思っていた。

孝男のサーフィン。戦闘的。この波乗ろうと決めたら絶対逃さない。
よく飲んだときにあいつの足の裏見た。
「お前吸盤隠してるだろう?」と。絶対に転ばない。
最近は腰も首も悪くリッピングに少々切れが無いけど。
でもイケテル40才だ。極寒の一宮でもスプレー飛ばしまくってる。
修自君は、賢い。サーフィンを長く続けるためには体を冷やさない。だからハワイに住んでる。
そして、44才でもバックドア8ftの波、6’1”の板で平気でかぶってる。すごすぎる。

さて、親爺の人脈自慢にも飽きたことでしょう。お題は何だ?と思ってらっしゃる方へ。
人生人との出会い、風景との出会い、チャンスとの出会い、
これがとても大切だと言うことを伝えたい。
そして、この出会い、あとからその大切さに気づくと言うこと。
だから、どんな人との出会いも大切に。
海で知らない親爺に「ここは危ないから、あっちの堤防脇が良いよ」と言われたら、
にっこり「ども」と。
知らない土地で、良い波譲ってもらったら「ありがとう」とにっこり。
食堂でおばちゃんが「おまちどう」って運んできてくれたら「ごち」とにっこり。
いつでも、どこでもこんな感じでいて欲しい。そんなあなた達ならきっと出会えます。
素敵な夕日の中、終わることの無いスベスベのショルダーに。
笑い声だけが聞こえるグリーンのバレルに。

サーフィンデビューする老若男女へ老婆心ながら。
まず訊いてみる。訊ねてみる。ここは入っていいのか。
ビギナーならどの辺りで待ってるといいのか。
美味い飯屋はどこか。風の向き。うねりの向き。潮の干満。地形。水温。
そして、必ず「ありがとう」。また会った顔なら「こないだはどうも」。
この態度と、心をもっていれば、きっと楽しい波乗り人生が送れます。
サーフィンは厳しくタフなスポーツ。でも、絶対他では味わえない感動を自力で掴めます。
目標と達成感を味わいたい人にも、リセットしたい人に、最高にお勧めの遊びです。

そしてdenisやnoriのような素敵な人を大切に。海と太陽に感謝して。
考えてないで行動。サーファーはいつでも「go for it !」だよ。



         PULL-OUT